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地球特派員2007 「サブプライムショック 米・住宅バブル崩壊の現場」

この夏、世界の金融市場を混乱に陥れたサブプライムショック。
発端はサブプライムローン、アメリカの信用度の低い個人向けの住宅ローンの焦げ付きでした。大手金融機関の莫大な損失額が発表されるなか、その余波は秋になった今日現在も広がるばかりです。
今回の地球特派員はジャーナリストの斎藤貴男氏が、住宅バブル崩壊後のアメリカの現地の状況を取材しました。

アメリカではここ数年、これまで持ち家とは縁のなかった低所得者層までが、サブプライムローンの利用によって住宅を購入していました。このアメリカン・ドリームの実現の背景には年率10%もの住宅価格の高騰がありました。
けれどもひとたび住宅バブルに翳りが見え始めると、ローンの多くは滞納されることに。サブプライムローンによって購入された物件のうち既に220万人が差し押さえられています。多くのローンが、借り手の返済能力を考慮せずに貸し付けられていたのからです。
返済能力に欠く借り手にまでローンが無差別に貸し付けられていた背景には、現代の高度な金融工学がありました。ローンの債権が証券化を通じて世界中の金融機関に購入されていたのです。それが、一国の住宅ローンの焦げ付きが、世界規模の金融不安にまで波及した理由になりました。

番組では、スタジオゲストに森永卓郎氏を迎え、破綻に追い込まれたローン利用者の深刻な状況を伝えながら、ローンが複雑な金融商品として生まれ変わって世界中に拡散していく過程をひも解いていきます。そして住宅という人の生活の根幹に関わる部分と、肥大化した世界の金融経済が密接に結びついてしまった今日の世界が置かれている状況を考えます。

ディレクター:山根 幸太郎   AD:服部 隆志   / プロデューサー:藤枝 融