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NNNドキュメント’12 「八ッ場 長すぎる翻弄 ふるさとは壊され続けて」

去年暮れ、政府は八ッ場ダムの建設「再開」を決めた。民主党が政権に就いて中止を宣言、地元に衝撃を与えたのは2年前。だが住民の苦しみは、そこから始まったのではない。

最初の計画から実に60年。長い自民党支配の時代からダムに振り回され、国に裏切られ続けているのだ。私たちのカメラが地元の温泉街・川原湯を追い始めたのは7年前。既に住民の大半が流出していた。かつてダムを受け入れる代わりに約束されたはずの、ダム湖畔での街の再建が先延ばしされ続けていたからだ。

今回、建設再開が決まっても安住の地は見えない。予定地に移る旅館や店はわずかで、新たな温泉街で経営が成り立つ保障さえないのだ。時代を越えてないがしろにされ続けた人々の、知られざる苦渋の歳月をたどる。

ディレクター:長塚洋  プロデューサー:松本裕子