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BS歴史館 「アンデルセン 童話に隠された秘話」

「マッチ売りの少女」「人魚姫」「赤いくつ」「みにくいアヒルの子」など名作童話の数々で、世界中の子どもたちに愛されているアンデルセン。

アンデルセンが生きた19世紀のデンマークは、近代化を前に苦しみの時代を迎えていた。絶対王政と階級制を敷く国家は、周辺国との戦争により疲弊。靴職人だったアンルセンの父は、戦争の影響で心身を病んで死去。「マッチ売りの少女」を地でいくような貧困の中、母はアルコール中毒に陥るという悲惨な状況。

努力の末、作家として成功したアンデルセンは、王侯貴族や上流階級と交流を深め、一躍、身分の壁を超えたかに見えた。しかし、そこで彼を待っていたのは、友情はあっても、恋愛や家族づきあいは拒絶されるという、階級制の壁。「みにくいアヒルの子」のような孤独の中、アンデルセンはみずからの中途半端な立場に苦しみ続ける。

やがてデンマークに近代化と共和制の革命の波が押し寄せる。激動の中、アンデルセンはどのような道を歩んでいったのか―?人それぞれの幸せの形を描き出し、時代を超えて人々の共感を得る名作の数々。人として何かを求め、傷つき、何かを失い、そして別の何かを得ていく―。デンマーク激動の歴史をひもときながら、名作誕生の知られざる背景の秘話を紹介しながら、アンデルセン童話の魅力の秘密に迫る。

ディレクター:後藤和子  プロデューサー:山根幸太郎  AD:土田紗佑里