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BSドキュメンタリー「なんの為に息子は戦ったの? 〜イラク戦争・米兵の母たちの思い〜」

アメリカがイラク攻撃に踏み切って3年が過ぎたが、依然平和への道筋は見えてこない。駐留する米軍兵士は12万人。開戦以来の死者は2500人を超えた。2500の兵士の死は、同じ数の悲劇の母親を生んだ。
シンディ・シーハンさんは2004年のサドルシティでの戦闘で24歳の息子ケーシーを亡くした母親だ。シーハンさんは去年夏、「なぜ息子が死んだのか答えて欲しい」とブッシュ大統領に迫り、「反戦の母」のシンボルとなった。「イラクは米国にとって脅威ではない。みんな無駄死にしている」。普通の母親による直接行動はアメリカ世論を揺さぶった。州兵や予備役までもが犠牲となる戦争は、どこかおかしいと感じる人が増えていたからだ。愛国的で平凡な母親に過ぎなかったシーハンさんの登場は、バラバラだった反戦団体をひとつにまとめる力となった。シーハンさんたちは今年も〝WE HAVE THE POWER〟を合言葉に、膠着したイラクからの撤兵を全米各地で訴える。
中間選挙を控えた今年は、2期目のブッシュ政権にとっても正念場となる。戦場に息子を送り出した母親たち、生還してもPTSDに悩まされる兵士の母親たちは、この夏何を考え、どう行動し、それは世論の形成にどんな影響を及ぼすのだろうか。シーハンさんら、全米各地の「兵士の母」の日常にカメラをすえて、イラク戦に対する草の根の人々の思いを探る。

ディレクター:長谷川 格   プロデューサー: 山根 幸太郎