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情熱大陸「ダンサー 服部有吉 〜異邦人として ― Yukichiの旅〜」

【STORY】
  服部有吉、23歳。職業、ダンサー。 世界屈指の振付家ジョン・ノイマイヤーが率いるコンテンポラリーバレエの名門 ドイツハンブルグ州立バレエ団、東洋人初のソリスト。身長わずか162センチ。180センチを越える白人たちに囲まれて、その小さな身体でバレエ界に新たな風を送り込もうとしている。

有吉は、国民栄誉賞の作曲家服部良一の10番目の孫。6歳からクラシックバレエを始め、13歳で自ら決めてドイツハンブルグバレエ団のバレエスクールに単身留学。卒業間際、プロになるためにバレエ団のオーディションを受けるが、不合格。受けたオーディションは12。名だたるバレエ団はそのほとんどが「東洋人、そして小さな体」を理由に有吉の入団を拒んだ。彼の技術や才能には関係なく。それでも、ひたむきに踊り続けていた彼を、ジョン・ノイマイヤーが認め、自身のハンブルグ州立バレエ団に受け入れた。有吉は徐々に頭角を現し、2001年12月彼を主役にした新作「冬の旅」が上演された。スタンディングオベーションの中、有吉の名は 一躍ヨーロッパのバレエ界に知れ渡ることになった。

このめったに上演されることのない「冬の旅」がジョンノイマイヤー就任30周年記念のバレエ週間で上演される。実はこの公演は「ダンサー有吉」としてハンブルグバレエ週間最後の年となる。来年から有吉はダンサーとともにハンブルグバレエ団の若きコリオグラファー(振付家)としてバレエ団の中で活躍することになっているのだ。東洋人初のソリストは、またハンブルグバレエ団初の東洋人コリオグラファーとして初めて新たな道を歩み始める。

「100パーセントではないけど、7対3くらいでドイツ人かなとおもう」 有吉は自らを、“日本人よりもヨーロッパ人に近い”と言う。人生の半分、もっとも多感な10代をヨーロッパで生きてきた有吉にとって、日本よりもヨーロッパの方が身近な存在。 しかし、そんな有吉が白人バレエの世界で生き残るために自ら選んだのは「日本や東洋的なもの」だった。東洋と西洋の間で、したたかに、ひたむきに、自らのアイデンティティーを求めながら生きようとするダンサー。今まさに「光が見えてきた明日へ」その一歩を踏み出そうとする服部有吉の「今」を追った。

●演出 山口恒治 ●ナレーター 窪田等 
   ●撮影 樋口辰男 ●VE 鏡原圭吾  ●コーディネート Gernot Schreck 
   ●編集 伊藤誠  ●VTR編集 池田聡 ●MA 吉田一明
   ●音響効果 増子彰 ●演出補 吉川麻衣子 
   ●プロデューサー 中野伸二(MBS)・松本裕子