過去の作品

ハイビジョン特集 「孫文を支えた日本人 辛亥革命と梅屋庄吉」

5月から始まる上海万博の日本館で8月「孫文と梅屋庄吉展」が開かれる。二千年にわたる皇帝支配に終止符を打ち、今なお尊敬を集める孫文。その孫文と革命達成の盟約を結び、生涯裏方として奔走した男がいた。後に日活の創業者のひとりとなる梅屋庄吉である。

孫文と梅屋の出会いは日清戦争中の1895年。中国には欧米による分割の危機が迫り、日本はまだ不平等条約下にあった。西洋列強に虐げられるアジアの現実を憂える二人は、日中の連帯によって列強に対抗し、アジア人のアジアを建設する“大亜細亜主義”の理想を語り合った。梅屋は「君は兵を挙げよ。われは財を挙げて支援する」と盟約、後に映画ビジネスで得た巨万の財を何の見返りも求めずに孫文に提供した。

二人が理想とした“大亜細亜主義”は日露戦争、第1次大戦を経て、戦勝国日本の権益拡大を優先するスローガンに変質していくが、梅屋は孫文亡き後も日中の戦争を回避しようと奔走した。辛亥革命から約100年、梅屋の口述筆記や梅屋が撮らせた辛亥革命の貴重な記録映画などの事実を積み重ね、日中の友好を希求した一人の日本人の生涯を描く。

ディレクター:山根幸太郎  プロデューサー:藤枝融  AD:藁科直靖